Ⅰ 障害年金とは
障害年金は、老齢年金や遺族年金と同じ公的年金保険の一つです。民間の保険と同様に保険料をかけて(一部例外あり)、いざというときに保険給付を受ける仕組みになっています。「いざというとき」というのは、病気やケガが原因で安定して働くことが難しくなったときや日常生活に支障が出ているときということになります。障害基礎年金には1級~2級、障害厚生年金には1級~3級と障害手当金があり、数字が小さいほうが障害の程度が重くなっています。
Ⅱ こんな方は受給の可能性があります
- 長い間(1年6か月以上)の持病や障害がある ※1
- 仕事や生活に支障があり、周りのフォローが必要である
- 20歳~64歳である
※1 1年6か月を経過する前に認められるケースもあります
※2 65歳以上でも条件がそろえば受給できることもあります
障がい者手帳を持っていない・・・
障がいではなく病気・・・
という理由でご自身は対象外とお考えの方も、要件を満たせば受給の可能性があります。障害年金は多くの傷病で受給が可能な年金です。
Ⅲ 障害年金の受給にはクリアしなければならない要件があります
障害年金の要件
- 初診日に被保険者等であること
- 保険料の納付要件を満たしていること
- 障害認定日または裁定請求日に、障害の程度が等級に該当すること
それぞれの要件をクリアしているかどうか、ご自身では見極めが難しい場合が多いです。お一人で悩まず専門家にご相談ください
Ⅳ 請求方法の種類
・障害認定日請求
障害認定日に障害等級に該当する(「障害等級要件」詳細 参照)場合、障害認定日の翌月分から年金を受け取ることができます。これを「障害認定日請求」といいます。
・障害認定日請求(遡及請求)
障害認定日から1年以上経過した後で、障害認定日に遡って請求する方法をいいます。
障害認定日の翌月分から年金を受け取れますが、遡及して受給できるのは5年分までです。
・事後重症請求
障害認定日時点では障害等級に該当しなかったが、その後病状が悪化し障害等級に該当する状態になったときにとる請求方法です。請求日の翌月分から年金を受け取ることができます。
・基準障害による請求(初めて2級請求)
すでに障害等級3級以下の障害を持っている方が新たな傷病(既存の障害と相当因果関係にないもの)を患った場合に当該複数の傷病を併合して年金を請求します。これを「基準障害による請求」といいます。尚、基準障害(後発傷病による障害)の障害認定日に(それまでの障害を併合して)初めて2級の要件に該当した時に支給される年金であることから、「初めて2級請求」とも呼ばれます。請求日の翌月分から支給されます。
・20歳前傷病による障害認定日請求
20歳に達する日(20歳誕生日の前日)より前に初診日がある傷病について請求する方法です。この場合保険料納付要件は問われませんが、所得により支給制限があります。(支給制限等の詳細はこちら) 尚、この請求方法による障害認定日は次の2つに分かれます。
初診日 | 障害認定日 |
A 20歳到達より1年半以上前 | 20歳に達する日 |
B 20到達まで1年半以内 | 初診日から1年6ヵ月経過した日 |
尚、請求方法によって、提出を求められる診断書の「現症年月日」が変わってきます。
請求方法 | 必要な診断書と枚数 |
障害認定日請求 | 障害認定日以後3ヶ月以内の日を現症日とする診断書1枚 |
障害認定日請求(遡及請求) | 障害認定日以後3ヶ月以内の日を現症日とする診断書1枚と請求日以前3ヶ月以内の日を現症日とする診断書1枚(合計2枚) |
事後重症請求 | 請求日以前3ヶ月以内の日を現症日とする診断書1枚 |
基準障害による請求(初めて2級請求) | 前発障害(複数の場合含む)および基準障害それぞれについて、請求日以前3ヶ月以内の日を現症日とする診断書各1枚 |
20歳前傷病による障害認定日請求 (初診日がAの場合) | 20歳に達する日前後3ヶ月以内の日を現症日とする診断書1枚 |
20歳前傷病による障害認定日請求 (初診日がBの場合) | 障害認定日前後3ヶ月以内の日を現症日とする診断書1枚 |
V 障害年金の額
障害基礎年金・障害厚生年金の等級と年金額 ※年金額などは、令和4年度の金額です。
障害の状態により、障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級~3級の年金を受け取ることができます。また、障害厚生年金1級・2級に該当する場合は、障害基礎年金もあわせて受け取ることができます。なお障害年金の1級の額は、2級の1.25倍となります。
障害年金(報酬比例)・障害手当金額の計算式
加給年金額と子の加算額
Ⅵ 障害年金の請求に必要な書類
すべての方が提出・添付する書類
- 初診日が国民年金の加入中にある場合 国民年金障害基礎年金用(様式107号)
- 初診日が厚生年金の加入中にある場合 国民年金・厚生年金保険障害給付金用(様式104号)
基礎年金番号、加入期間確認のために必要です。
戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明書、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
請求者の生年月日の確認のために必要です。
単身者の方で、日本年金機構にマイナンバーが登録されている方は、戸籍謄本等の添付は原則不要です。
医師または歯科医師に作成をお願いしてください。
障害年金用に所定の様式があります。(8種類)
・眼の障害用
・聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下機能・言語機能の障害用
・肢体の障害用
・精神の障害用
・呼吸器疾患の障害用
・循環器疾患の障害用
・腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
・血液・造血器・その他の障害用
障害認定日より3か月以内の現症のもの
障害認定日と年金請求日が1年以上離れている場合は、直近の診断書(年金請求日前3か月以内のもの)も併せて必要です。呼吸器疾患の診断書には、レントゲンフィルムの提出が必要な場合ががあります。
循環器疾患の診断書には、心電図のコピーの提出が必要な場合があります。
発病日や初診日を確認するために、先天性の傷病や長期間の傷病の場合に必要です。
初診日を審査する際の資料となります。請求者が記入します。
・先天性障害(網膜色素変性症等):眼用 ・先天性障害:耳用
・先天性股関節疾患(臼蓋形成不全を含む)用 ・糖尿病用
・腎臓・膀胱の病気用 ・肝臓の病気用 ・心臓の病気用 ・肺の病気用
初診日を確定するための書類です。
初診時の病院と診断書を作成した病院が同じ場合は不要になることがあります。「受診状況等証明書」を添付できない場合、「受診状況等証明書が添付できない申立書」(請求者が記入します)を初診日の確認ができる参考書類(写)を添付して提出
発病から初診までの経過、その後の受診状況や就労状況等について記入する書類です。審査をする上で障害状態を確認するための重要な補足資料となります。(請求者が記入します)
請求者本人名義のものカナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号が記載された部分を含む預金通帳またはキャッシュカード(写しも可)など
請求書に金融機関の証明を受けた場合は添付不要
「年金請求書」「診断書」「障害年金の初診日に関する調査票」「受診状況等証明書」「受診状況等証明書が添付できない申立書」「病歴・就労状況等申立書」は、年金事務所または街角の年金相談センターの窓口で受け取ることができます。
18歳到達年度末までのお子様がいる場合
(20歳未満で障害の状態にあるお子様を含む)
子について請求者との続柄および氏名。生年月日の確認のために必要です。
請求者との生計維持関係を確認するために必要です。
マイナンバーを記載することで省略することができます。
生計維持関係確認のために必要です。義務教育終了前は不要、高等学校等在学中の場合は在学証明書または学生証など
マイナンバーを記載することで省略することができます。
医師または歯科医師に作成をお願いしてください。20歳未満で障害の状態にあるお子様がいる場合には必要です。1級又は2級の障害状態にあることを確認するために必要です。
障害の原因が第三者行為の場合
所定の様式ありがあります。
交通事故証明書は、自動車安全運転センターで受け取ることができます。人身事故については5年、物件事故については3年をそれぞれ経過したものについては原則交付されません。詳しくは交通事故が起きた都道府県の自動車安全交通センターにお問い合わせください。
所定の様式があります。
源泉徴収票、健康保険書の写し、学生証の写しなど
既に決定済みの場合に必要です。
示談書など損害賠償金の受領額がわかるもの
所定の様式があります。
「第三者行為事故状況届」「確認書」「同意書」は、年金事務所または街角の年金相談センターの窓口で受け取ることができます。
請求者本人の状況によっては必要なもの
20歳前障害の場合に、本人の所得を確認するために必要です。マイナンバーを記載することで省略することができます。
共済組合に加入されていた期間がある場合に必要です。
他の公的年金から年金を受けている場合に必要です。(配偶者を含む)
障害の状態を確認するための補足資料になります。
国民年金に任意加入しなかった期間のある場合に必要です。
障害認定日から1年以上経過して、障害認定日による請求または事後重症による請求をする場合に必要です。
年金を受け取れる権利が発生した日の翌日から5年を経過している場合に必要です。
他の年金を受け取っている場合に必要です。
障害年金の請求には専門ノウハウが必要です。
お一人で悩まず専門家にご相談ください。