障害等級要件

障害等級要件

1.障害認定日に障害等級に該当する必要があります。

障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日のことを言います。

具体的には、次のいずれかとなります

① 初診日から起算して1年6か月経過した日
(例:初診日が令和4年3月1日の場合 障害認定日は令和5年9月1日)

②1年6か月経過する前にその病気やけがが治った日(症状固定日)

③ 20歳前障害の場合は、20歳到達日(20歳誕生日の前日)又は、上記①もしくは➁の日
※知的障害の場合や、初診日から1年6か月経過日が20歳到達日前であれば20歳到達日が障害認定日となります。初診日から1年6か月経過日が20歳到達日後であれば、1年6か月経過日が障害認定日となります

●障害認定日(20歳前障害の場合)

・障害認定日の特例
次に掲げる日が、初診日から1年6か月経過前にあるときは、その日が障害認定日となります。

1、人工透析療法を行っている場合は、透析を初めて受けた日から起算して3カ月を経過した日
2、人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合は、そう入置換した日
3、心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)または人工弁を装着した場合は、装着した日
4、人工肛門の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設または手術を施した日から起算して6カ月を経過した日
5、新膀胱を造設した場合は、造設した日
6、切断または離断による肢体の障害は、原則として切断または離断した日(障害手当金の場合は、創面が治癒した日)
7、喉頭全摘出の場合は、全摘出した日
8、在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日

2.障害等級に該当するかどうかを見る

障害認定日が確定したら、その時点で障害等級に該当するか否かを見る必要があります

2段階で見ていきます。

障害認定基準Ⅰ 「障害の程度」

障害の程度とは、次のように、病気や生活の状況と障害の等級を関連付けたものをいいます。非常におおまかです。
まずはこの「障害の程度」でご自身の状況がどのあたりに位置するかイメージをお持ちください

⦁ 1 級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状により、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度である。
例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、
活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるものである。
つまりは、ほぼ寝たきりの状態といえます。
⦁ 2 級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状により、日常生活が著しい制 限を受ける状態で、他人の助けを借りなければ生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度である。例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、
それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。つまりは、外出困難、就労不能の状態といえます。
⦁ 3 級
労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
また、「傷病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。
(「傷病が治らないもの」については、障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であって も3級に該当する。)
つまりは、就労は可能だが健康な人と同じように働くことは無理な状態といえます。
⦁ 障害手当金
「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。
障害手当金とは3級よりも少し軽い障害が残った場合に支給される一時金で、初診日に厚生年金に加入していた場合に支給されます。
支給要件
・初診日において厚生年金保険の被保険者である
・初診日から起算して5年を経過する日までの間に傷病が治った(症状固定)
・傷病が治った日において政令で定める障害の状態にある
・初診日の前日において保険料納付要件を満たしている
支給額
障害厚生年金の計算式により算出した額の200/100に相当する額。最低保障額があります。

障害認定基準Ⅱ 部位別傷病別の障害認定基準

Ⅰの障害の程度は大変おおまかで抽象的なものでした。これでは客観的に病状等を障害等級にあてはめられません。

そこで、実際に障害等級に該当するかどうかを見極めるには、より具体的な部位別、傷病別の障害認定基準を使います。

こちらの障害認定基準は、第1「眼の障害」から第19節「重複障害」に分かれています。

おもな傷病・・・白内障、緑内障、ぶどう膜炎、眼球萎縮、癒着性角膜白斑、網膜脈絡萎縮、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症  など

おもな傷病・・・感音性難聴、突発性難聴、頭部障害や音響外傷による内耳障害、メニエール病 など

おもな傷病・・・外傷性鼻科疾患(鼻欠損による鼻呼吸障害)

おもな傷病・・・メニエール病、内耳障害 など

おもな傷病・・・咽頭がん、舌がん など

おもな傷病・・・咽頭摘出や脳損傷による言語機能の消失 など

おもな傷病・・・上肢または下肢の離断や切断、外傷性運動機能障害、脳血管障害による後遺症、筋委縮性側索硬化症、関節リウマチ、脊髄損傷、脊髄小脳変性症、パーキンソン病、脊柱管狭窄症、筋ジストロフィー、変形性股関節症、糖尿病性壊疽、線維筋痛症など

おもな傷病・・・認知症、統合失調症、うつ病、双極性障害(そううつ病)、てんかん、高次脳機能障害、知的障害、発達障害(広汎性発達障害、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム)、アルコール依存症など

四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛、脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛、根性疼痛、悪性新生物に随伴する疼痛、糖尿病性神経障害による激痛 など

おもな傷病・・・中皮腫、肺結核、じん肺、気管支ぜんそく、慢性気気管支炎、肺線維症、間質性肺炎、気管がん、気管支拡張症、非結核性抗酸菌症 など

おもな傷病・・・心不全、ペースメーカー装着、人工弁装着、慢性心包炎、狭心症、心筋梗塞、大動脈弁狭窄症、心筋症 など

おもな傷病・・・人工透析、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎不全、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症 など

おもな傷病・・・肝硬変、多発性肝腫瘍、肝臓がん など

おもな傷病・・・再生不良性貧血、溶結性貧血、血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫 等

おもな傷病・・・糖尿病

おもな傷病・・・前立腺がん、胃がん、大腸がん、直腸がん、乳がん、子宮体がん、悪性リンパ腫 など

おもな傷病・・・悪性高血圧症、高血圧性網膜症 など

おもな傷病等・・・腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症、人工肛門、蔓延性植物状態、難病、臓器移植、認定困難な4疾患(化学物質過敏症、線維筋痛症、慢性疲労症候群、脳脊髄液減少症) など

ご自身の症状が障害等級に該当するかどうかを見極めるには、専門ノウハウを必要とする場合があります。
お一人で悩まず、専門家にご相談ください。