初診日要件

初診日に被保険者等である必要があります。
障害の原因となった病気やケガの初診日に、国民年金または厚生年金の被保険者である必要があります。なお、障害基礎年金の場合、過去に被保険者であった方で日本国内に住所があり、60歳以上65歳未満の方も含みます(ただし、老齢年金を繰上げ受給している方を除く)。

では、初診日とはどのようなものでしょうか。

初診日とは? ➡

障害の原因となった傷病につき、
初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいいます。
初診日の特定は、障害年金の申請をする上での第一関門となります。

初診日特定が重要なわけ
  • 初診日時点での年齢や保険への加入状況により、受給の可否または年金の種類(障害基礎年金または障害厚生年金)が決まります
  • 保険料納付要件を満たすかどうかを判断する基準日となります
  • 障害認定日(初診日から1年6か月)を算出する上での起算日となります

・初診日の主な具体例

状況の具体例初診日となる日
障害の原因となった傷病について、現在かかっている医師または歯
科医師にはじめて診療を受けた場合
治療行為または療養に関する指示が
あった日
同一の傷病で転医があった場合一番初めに医師または歯科医師の診
療を受けた日
過去の傷病が治癒し(社会復帰し、治療の必要のない状態)、同一
傷病で再度発症している場合
再度発症し医師または歯科医師の診
療を受けた日
健康診断で異常が発見され療養に関する指示を受けた場合その後初めて治療目的で医療機関を受診した日
傷病名が特定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても
同一傷病と判断される場合(例:心因反応→うつ病)
対象傷病と異なる傷病名の初診日
じん肺症(じん肺結核を含む)じん肺と診断された日
障害の原因となった傷病の前に相当程度因果関係があると
認められる傷病がある場合
最初の傷病の初診日
先天性の知的障害出生日
先天性心疾患、網膜色素変性症など日常生活や労働に支障をきたすよう
な具体的な症状が現れはじめて診療
を受けた日
先天性股関節脱臼

・完全脱臼したまま生育した場合

・青年期以後になって変形性股関節症が発症した場合


出生日


発症後にはじめて診療を受けた日

初診日を特定する上での留意事項

・ 不調を感じて一番初めに医師の診療を受けた日⇒正確な診断名が確定した日ではありません
最初に診療を受けた病院で診断名がつかなかったり、誤診だった場合でも、この一番初めに医師または歯科医の診療を受けた日が初診日となります。
・ 相当因果関係が認められる場合は、前の疾病や負傷による症状で最初に診療を受けた日が初診日となります。相当因果関係が認められる場合とは「前の疾病や負傷がなければ、後の疾病は起こらなかった」と認められる場合のことをいいます。

≪相当因果関係が認められる疾病例≫

糖尿病と、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性壊疽
(糖尿病性神経障害・糖尿病性動脈閉鎖症)
糸球体腎炎(ネフローゼ)含む・多発性のう胞腎・慢性腎炎と、その後生じた慢性腎不全(両者の期間が長くても相当因果関係ありとして取り扱われる)
肝炎と肝硬変
結核の化学療法と副作用として生じた聴力障害
手術等の輸血による肝炎の併発
ステロイド投薬と副作用として生じた大腿骨頭無腐性壊死
事故または脳血管疾患による精神障害
肺疾患の手術と、その後の呼吸不全
(両者の期間が長くても相当因果関係ありとして取り扱われる)
転移性悪性新生物・・・原発とされるものと、組織上一致するかまたは転移であることが確認できたもの

≪相当因果関係なしと扱われる疾病≫

高血圧と、脳出血・脳梗塞
糖尿病と、脳出血・脳梗塞
近視と、黄斑部変性・網膜剥離・視神経萎縮

初診日のカルテが残っていない場合の対処方法

・障害年金を申請する傷病について、診断書の作成を依頼する医療機関と初診の医療機関が異なる場合、初診の医療機関に「受診状況等証明書」を作成してもらい、初診の証明とします。上の図の場合、診断書の作成を依頼する医療機関はC病院、初診はA病院ですので、A病院にカルテが残っており「受診状況等証明書」を作成してもらえれば何も問題はありません。ただし、受診から年数が経ちカルテが廃棄されている場合やシステムが変更され記録が残っていない場合、病院が廃業している場合などスムーズに初診の証明が取れないケースもあります。そんな時もあきらめずに他に手立てがないか探りましょう。

受診状況等証明書様式


次のような手立てが考えられます

1、B病院もしくはC病院に確認する
・B病院にA病院からの紹介状が残っている場合
 B病院に「受診状況等証明書」の作成を依頼し、紹介状の写しをいただきましょう
・B病院もしくはC病院のカルテにA病院の受診についてヒアリング結果が残っている場合B病院(もしくはC病院)に「受診状況等証明書」の作成を依頼し、証明していただける範囲内で記入してもらいましょう。

2、受診状況等証明書を提出できない場合
次の参考資料を添付することにより、初診日として認定される可能性があります。
あきらめずに探しましょう。

初診日を確認する目安となる参考資料 (提示が可能な複数の資料が必要となります)

書類確認できること交付申請する機関など
①身体障害者手帳、精神障害者保健福
祉手帳、療育手帳
交付年月日、障害等級、等級変
更の履歴、傷病名(身体障害者
手帳のみ)等
お住まいの市区町村の福祉課等
②身体障害者手帳等の申請時の
診断書
傷病の発生年月日、傷病の原因、
傷病の経過等
● お住まいの市区町村の福祉課等
● 診断書を書いてもらった医療機関
③生命保険、損害保険、労災保険の給
付申請時の診断書
傷病の発生年月日、傷病の原因、
傷病の経過等
診断書を提出した生命保険会社等
④ 交通事故証明書交通事故が原因である場合、
事故発生年月日
● 最寄の自動車安全運転センター
● 警察署
⑤ 労災の事故証明書事故発生年月日、療養開始日等労働基準監督署
⑥ 事業所の健康診断の記録健康診断の受診日● 勤務先
● 健康診断を受けた医療機関
⑦インフォームド・コンセントに
よる医療情報サマリー
傷病の発生からの治療の経過や
症状の経過等
インフォームド・コンセントによる
医療情報サマリーを発行した医療機関
⑧健康保険の給付記録
(健康保険組合や健康保険協会等)
初診日に係る健康保険の給付記録初診日に加入していた健康保険組合
や健康保険協会
⑨ 次の受診医療機関への紹介状前医の医療機関名、受診機関、診療内容等紹介状を書いてもらった医療機関
⑩ 電子カルテ等の記録
(氏名、日付、傷病名、診療科等が
確認されたもの)
初診日、診療科、傷病名初診日の医療機関等
⑪お薬手帳、糖尿病手帳、領収証、診
察券(可能な限り診察日や診療科がわかるもの)
●お薬手帳:処方箋を発行した医療機関等
●糖尿病手帳:手帳を発行した医療機関、
 血糖値などの検査数値
●領収証:受診日、診療科等
●診察券:発行日(受診日)、診療科等
●お薬手帳:処方箋を発行した医療機関等
●糖尿病手帳:手帳を発行した医療機関
●領収証:初診日の医療機関等
●診察券:初診日の医療機関等
⑫ 複数の第三者証明初診日初診日を証明することができる第三者

3、第三者証明
平成27年10月1日より、それまで20歳前傷病による請求に限って認められていた第三者証明による初診日の認定が、20歳以後にも適用されることになりました。
・初診日が20歳前の場合
請求する障害年金は障害基礎年金に限定されるため、第三者証明のみでも総合判断により初診日の認定が可能とされています。
・初診日が20歳以後の場合
初診日時点で加入していた年金制度の特定が求められるため、第三者証明に加えて客観的な資料を要します。

第三者証明で求められる証明内容等
①発病から初診日(または20歳前)までの症状の経過
②初診日頃(または20歳前)における日常生活上の困難さ
③医療機関受診の契機
④医師からの療養の指示など受診時の状況
⑤初診日頃(または20歳前)の受診状況を知り得た状況 など
  
第三者証明は原則2人以上から取得することが求められます。
・初診日当時に見て知った あるいは
・初診日当時聞いて知った あるいは
・初診日当時ではないが、今から5年以上前に聞いて知った
方で、三親等内親族以外の方が対象者となります。
尚、初診当時を知る医療従事者(当時の担当医や看護師等)であれば、1人の証明で有効とされています。

第三者証明様式

4、初診日が一定期間内にある場合の初診日の認定
初診日が一定期間内にあることまではわかっているが、正確に特定できない場合の初診日認定を可能とする取扱いで、3の第三者証明同様、平成27年10月1日より導入されました。初診日がある一定期間の始まりと終わりを立証し、その間の保険料納付要件が満たされていれば、本人の申立日が初診日として認められます。初診日がある一定期間中、加入していた年金制度が単一なのか複数なのかで取扱いが異なります。

(1) 加入していた年金制度が単一

この場合は主張した日がみとめられます

(2) 加入していた年金制度が複数

この場合は他の資料も必要になります

初診日の証明には、専門ノウハウを要する場合があります。
あきらめないで、専門家に相談しましょう。