1.線維筋痛症とは
原因不明であらゆる検査でもほとんど異常が認められず、全身の強い痛み(疼痛)を
主症状とし、精神神経症状(不眠やうつ病など)、自律神経の症状(過敏性腸症候群など)を
副症状とする疾患であり、長期間にわたる強い痛み(疼痛)のためQOL(生活の質)が
著しく低下します。
《その他特徴》
・鑑別診断も大変重要であるが、他の疾患(化学物質過敏症や筋痛性脳脊髄炎、リウマチ性疾患
など)が併存することも見逃してはいけない疾病である(見極めが難しい)
・原因・要因としては、交通事故などの事故や手術、環境の変化(引っ越しなど)、ライフイベント
(結婚など)、過労、不規則な生活、虐待、身体的要因(低血糖・低血圧・低体温など)などが
挙げられる
・日本で200万人ほどの患者がいると推計され、希少疾患とは言えない
・難治性であるが、指定難病ではない
・診断がつくまで様々な病院にかかることが多い
・診療科は、リウマチ科や膠原病科、ペインクリニックとなることが多い
2.障害年金の認定方法
線維筋痛症の認定方法について、認定が難しい他の3疾患と併せて
平成24年7月9日に日本年金機構より通知が出ました。
対象疾患:線維筋痛症・化学物質過敏症・慢性疲労症候群・脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)
認定事例も紹介されています。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/shougai/shindansho/2021040101.htmll
認定において、重症度分類と現行診断書項番⑱の「日常生活における動作の障害の程度」が
重要になると考えられます。また、握力や関節可動域、筋力の計測値記載については、
痛みのために測定できないならば、その旨明記することが大切です。
正常値であるから記載していないと受け取られないように気を付けましょう。
3.初診日の特定について
令和3年8月24日、初診日の取り扱いについて厚生労働省より通知が出ています。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210825T0050.pdf
実務においては、病状、診療等の経過を慎重に追跡し、医師の意見もよく聞いた上で
初診日を特定することが求められます。